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妊婦さんの栄養

妊婦さんの栄養

妊娠すると非妊娠時の活動エネルギーのほかに赤ちゃんを育てる栄養分が必要になります。そのため、非妊娠時の年齢階級別における食事摂取基準を踏まえたうえで、特定の栄養素をプラスして妊婦さんの栄養所要量とします。妊婦さんの栄養所要量は、妊娠期間を280 日とした場合の1日当たりの量として表すこととしています。妊婦さんのエネルギー及びたんぱく質の付加量は、健康な「ふつう体型」の妊婦が適度の身体活動を行い、かつ良好な赤ちゃんを出産する為に必要な量となっております。

出生時体重と適正体重増加量

妊婦さんのお腹に赤ちゃんがいる期間は、37~41 週と言われて、出生時体重が2, 500 g 以上4, 000 g以下の場合に問題なく元気に育つと言われています。37週未満の早産児や低出生体重児では、正期産児に比べ乳児死亡率が高く、過期産児もまた乳児死亡率が高い統計結果が出ています。厚生労働省は、母子の健康に配慮する為に妊婦さんの栄養所要量を策定しています。これは、非妊娠時にBMI値が18. 5~25. 0kg/m2 の「ふつう体型」の妊婦が正常体重(約3 kg)の単胎正期産児を出産するのに必要なエネルギーや栄養素の摂取を想定することが妥当であると考えています。


妊婦さんの食事(栄養所要量)

健康な赤ちゃんを出産する為に、妊娠してない時の栄養所要量にプラスしてエネルギー及び栄養素をプラスして摂取する事を食事指導の基本としています。
身体活動レベル  活動レベル
   活動レベル
   活動レベル
エネルギー(Kcal/日)  
初期  +50  +50  +50
中期  +250  +250  +250
末期  +450  +450  +450


食事指導(栄養所要量)


妊婦さんは体重管理をしましょう

妊婦さんの体重は出産するまでに平均9キロ程度増えます。これは赤ちゃん自身が成長するのと羊水や胎盤が発達します。厚生労働省によりますと、BMI値が18.5未満のやせた9~12キロ、BMI値が18.5以上25未満は7~12キロ程度の増加になるといわれています。妊婦さんの体重オーバーは、様々なリスクがあります。日頃から食事に注意をして適正範囲で体重増加をしていきましょう。
*BMIが痩せに近い場合は12キロに近い範囲で、肥満に違い場合は7キロに近い範囲を推奨としています。


妊婦さんが起きしやすい病気

妊婦さんが起こしやすい病気には、妊娠中毒症や妊娠糖尿病などがあります。病院などで体重について厳しく言われている妊婦さんもいるかもしれません。自分ではコントロールできない原因や危険因子が多く関係しています。体重が増えて自分を責めたり、体重増加を無理に抑えてストレスをためるよりも、リラックスを適度な運動、気分転換、バランスのとれた食事を心がけましょう。

  【妊娠中毒症】
以前は『妊娠中毒症』と言われていた症状ですが、最近では妊娠高血圧症候群と言われています。妊娠20週以降、分娩後12週まで血圧の上昇、または、高血圧に蛋白尿を伴う場合のいずれかで、かつこれらの症状が単なる妊娠の偶発合併症によるものではないものをいいます。症状が悪化すると母子ともに危険なもの。体重管理や薄味でバラ ンスのよい食生活、充分な休養を取るなどして予防します。

  【妊娠糖尿病】
妊娠糖尿病は、それまで糖尿病の症状がなかった人が妊娠をきっかけに発症するものです。妊娠糖尿病になると妊娠高血圧症候群や羊水過多症、感染症などを引き起こしやすくなります。妊婦さんの血糖値が高いと糖が赤ちゃんの方に移行し、胎児も高血糖の状態となります。赤ちゃんの方に移行した糖は脂肪として蓄えられるため、巨大児が生まれる可能性があり、巨大児になると自然分娩が難しく帝王切開にならざるを得ない場合があります。妊娠糖尿病になった妊婦は出産後は正常に戻るとはいえ、約半数は10~20年後にはまた糖尿病を発症するといわれています。妊娠糖尿病と診断された場合は、食事療法と運動療法によって血糖値を正常に保つよう調整することが大切です。医師の指導に従い、生活習慣の改善に努めましょう。


カルシウムと鉄分は食事から

日本人が不足しやすいカルシウムと鉄分。特に妊婦さんには日頃の食事でも注意したい栄養素です。日本人の食事摂取基準によると妊婦、授乳婦におけるカルシウムなどの栄養素の目安量は非妊娠時と同じで、18~29歳で850ミリグラム、30~49歳で700ミリグラムとなっています。妊婦さんのお腹の中でスクスク育つ赤ちゃんは、ある時期に達すると、ママの体から毎日約200ミリグラムのカルシウムを吸収して骨や歯の強化に励みます。また、鉄分も血液量が最大で50%も増えるので鉄不足になりやすくなります。食事で鉄分を増やす妊婦さんも多いようですが、中期、後期では貧血が多くみられるのが事実です。特につわりで思うように食事ができなかった人はハイリスクです。貧血になると疲れ易くなったり、息切れしたり、集中力がなくなったりします。鉄分の不足は早産、お産の体力、出産の時のリスクに関連しているといわれています。妊娠後期に入る前の鉄不足とリスクの関係が示唆されています。病院で貧血といわれ鉄剤を飲むのではなく、鉄分が不足する前から、食事やサプリメントで十分補うようにしましょう。


葉酸は食事とサプリでしっかり摂取

妊娠中に多く摂取した方が良い栄養素に葉酸があります。葉酸についての知識は、最近では広く浸透してきて妊婦さんも積極的に摂取している方も多いと思います。厚生労働省は妊娠を希望する全ての女性に1日400マイクログラムの葉酸摂取を進めています。葉酸を十分に摂取することで、二分脊椎や無脳症などの障害のリスクが低減できることが明らかになっています。バランスがとれた食事を心がけることが一番だとは思いますが、この大切な時期には、食事だけでは十分に補えない葉酸をサプリメントを取ることも検討されてはいかがでしょうか。


アルコール

アルコールはへその緒から赤ちゃんの体に入ります。アルコールは赤ちゃんの成長、脳などに影響をあたえ、障害を起こす可能性があります。妊婦さんのアルコール摂取はどのくらいなら大丈夫という目安はありません。アルコール摂取を続けた母親から生まれた子供には、胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD) がみられることがあります。学習能力、記憶力、集中量、コミュニケーション力、視力、聴力などに影響がでます。このFASDは生涯治ることはありません。アルコールを止められない妊婦さんは、専門家によるカウンセリングを受けましょう。

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