場所で呼び名が変わる『みそ汁』
東京近郊ではおみおつけ(御味御付)と呼ぶ。『おみ』は『みそ』、『おつけ』は『汁』を意味する女房言葉。江戸時代に江戸の地で使用され始めた。『御御御汁』または(御御御付)と書き、『おつけ』にさらに接頭辞が付いたとする説もあるが、これは民間語源だそうです。関東地区では伝統的に、みそ汁の中身の固形物のことを『具』とは呼ばず「実」と呼ぶ。また、関西地区や北海道では、汁を総じて『おつゆ』、もしくは『おつい』と称します。『おつゆ』を『すまし汁』『とみそ汁』を区別して使用する場合もある。京都では、みそ汁を『おみいのおしい』といいます。『おみい』がみそ、『おしい』が『汁』に相当で、みそ汁に相当します。
美味しい『みそ汁』のポイント
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みそ汁の調理方法
みそ汁の調理時間は短く、10分程から長くても一時間程である。 調理の際に、みそを加えた後に強く煮立たせると、みその香りが揮発して風味が減じる。そのため、火を止めてからみそを入れたり、煮立つか煮立たないかという時点(この状態を「煮えばな」という)で火を止める事もある。簡易的には、ダシ入りみそと乾燥ワカメを入れたカップにお湯を注ぐだけで完成する。 |
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みそ汁の出汁
みそ汁に使う出汁(だし)の材料は、昆布・煮干し・削り節などが主に使われる。これも、各家庭で千差万別であるが、近年は固形や顆粒状のインスタント製品(出汁の素などと呼ばれる)を使う家も多い。またみそ自体に出汁の成分を混ぜ、「だし入りみそ」として売られる物もある。 |
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みそ汁のみそ
みそ汁に使用するみそは各家庭によりまちまちだが、地域レベルで見ると相対的に赤みそが好まれる地域・白みそが好まれる地域などにブロック化することができ、それがそのままその地域の代表的なみその銘柄にもなっていることも多い。関東では信州みそが普及しているが、これは戦争により東京にあったみそ蔵が壊滅的な被害を受け、その際に比較的近くにある信州みそが関東に入り込んだためだと言われています。 |
みそ汁で使用する具材
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みそ汁の具 魚介類・海藻類
ワカメ -- 乾物や塩蔵ワカメ
昆布・とろろ昆布
アオノリ・板海苔
アオサ
ヒジキ
シジミ、アサリ -- 貝ごと洗って水から入れ、全てが口を開いたらみそを加える。
タラ
鮭
エビ・カニ -- 丸ごと、もしくは身を食べた後に、頭部の残殻を具にする。
あら -- 魚から身を切り出した残り(骨や頭など)を利用するもの。
みそ汁の具 野菜
ネギ -- 各地域のネギが使用される。白いネギを大きめに切って実としたみそ汁は根深汁という。
芋類 - じゃが芋、薩摩芋、長芋、山芋、里芋
蓮根
フキ
青菜 -- ホウレンソウ、小松菜など。
ナメコ -- ぬめりを落として入れることもある(そのままでも問題はない)。独特の舌触りを楽しむ。
大根 -- 水から入れる。イチョウ切りや短冊切りにする。
エノキタケ
シイタケ
シメジ
エリンギ
ミョウガ -- 小口切りにして吸い口として使われる。
ニンジン -- 水から入れる。
ジャガイモ -- 水から入れる。
ゴボウ -- 水から入れる。豚汁には欠かせない食材。
タマネギ
キャベツ
カブ
ナス -- 切り方や、皮をむくむかないなどで地域差や個人差がある。
ミツバ -- 最後に入れる
白菜
カボチャ -- 水から入れる。
もやし
ヘチマ -- 沖縄地方などで見られる。
セリ
キュウリ -- 東北地方などで見られる
枝豆 -- 山形県などで見られる。
ニラ
みそ汁の具 加工品
豆腐類 -- 油揚げ、厚揚げ(生揚げ)
納豆(納豆汁) -- 叩き割ったりすりつぶしてから入れることもある。
江戸では納豆を刻み、ネギも加えてみそ汁に入れるばかりになった物を、納豆売りが売り歩いた。
ちくわ
麩 -- 焼き麩。
そうめん -- ゆでてから入れる。
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沖縄県の『みそ汁』
沖縄県の食堂には「みそ汁」というメニューがある。大きな椀に豚肉、ポーク(ランチョンミート)、ソーセージ、豆腐、野菜類、鶏卵などが入ったみそ汁に、どんぶりに盛ったご飯と、場合によっては副菜もつく。なお、沖縄県のみそ汁では調理時に油を入れるのが普通であり、具に肉が含まれない場合はラードやマーガリンを加えるなどする。これは沖縄人好みの「あじくーたー(濃厚な味)」になると同時に、野菜を軟らかく煮るのに効果があるという。また豚肉、かまぼこ、こんにゃく、しいたけなどを白みそ仕立てにしたイナムドゥチや、魚汁(さかなじる)という魚(まるごと、あるいはぶつ切り)を具材としたみそ汁などもポピュラーである。 |
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