高齢者で考慮すべき栄養素
高齢者の栄養所要量(エネルギー)
高齢者で考慮すべき栄養素の中で基準を算定しているのは、エネルギー、タンパク質、カルシウム、鉄である。エネルギーでは、70 歳以上を対象者とした研究報告より、基礎代謝量及び身体活動レベルで70歳未満と異なる値を設定している。ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、クロムはエネルギー当たりの基準値から算定しているため、70
歳以上は異なる値となっているが、推定平均必要量のエネルギー当たりの基準値は70 歳未満と同じ値を用いている。
高齢者の栄養所要量(タンパク質)
タンパク質については、高齢者を対象とした窒素出納試験から70 歳以上で別途算定している。体重当たりの基準値は70 歳未満の成人と異なる値であるが、基準体重を乗じたところ、結果的に70 歳未満と等しい値となった。ビタミンB6 は、タンパク質当たりの推定平均必要量の基準値から算定される。タンパク質当たりの基準値は70 歳未満と同じ値を用いており、ビタミンB6 も結果として70 歳未満と同様の値である。
高齢者の栄養所要量(カルシウム)
カルシウムや鉄は、推定平均必要量を要因加算法から算定しているため、その計算途中で、基準体重の違いや吸収率など生理的条件の違いが反映された策定値である。
今回の策定では、日本人を対象とした研究が不足していたため、高齢者独自の食事摂取基準を検討もしくは算定した栄養素は少なく、とくに、実際の栄養状態や生活習慣病との関連について、根拠が不十分な事柄が多い。また、加齢による身体の機能及び形態の変化を、総合的に評価することは現時点では困難であり、70
歳以上という年齢をひとくくりとして基準を設定することについての是非も、今後の検討課題として残されています。
高齢者の栄養所要量
70歳以上高齢者のエネルギー必要量は、下記の通りです。
身体活動レベル |
活動レベル
Ⅰ |
活動レベル
Ⅱ |
活動レベル
Ⅲ |
エネルギー(Kcal/日) |
男 性 |
1850 |
2300 |
2500 |
女 性 |
1450 |
1700 |
2000 |
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